2012年4月13日金曜日

食中毒について調べる | 調べ方案内 | 国立国会図書館



■ 食中毒の定義

食中毒は医学的に独立した疾病ではないため、明確な定義づけは難しいとされます。食品衛生法第58条においては、「食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者」を食中毒患者と定義しており、このような症状の患者を診断した場合、医師は食品衛生法施行規則に基づいて必要事項の届出を提出するよう定められています。

食中毒の分類は、特に統一されたものはありませんが、おおむね、原因物質別に微生物性(細菌性、ウイルス性)食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒の3種類に分類されることが多いようです。それぞれの中毒の概要は次のとおりです(『原色食品衛生図鑑』(細貝祐太郎編者代表 新訂 第2版 建帛社 2008SC186-J22】)。

※以下【 】内は当館請求記号です。所蔵館(東京本館/関西館)については、アイコンをクリックし、「書誌詳細表示」画面の「所蔵詳細/申込み」ボタンをクリックして、ご確認ください。

・細菌性中毒
生きた病原細菌またはその産生した毒素に汚染された食品(飲食物)の喫食によって起こる急性の健康障害(主に急性胃腸炎)をいい、感染型と毒素型に大別される。一般に晩春から初秋にかけての発生頻度が高い。

・自然毒中毒
フグなどによる動物性自然毒とキノコなどによる植物性自然毒に分かれる。細菌性中毒と比較すると、発生件数、患者数ともに少ないが、死者数の割合は比較的多く59.5%を占める。

・化学性食中毒
有害化学物質を摂食して起こる食中毒のこと。発生頻度は少なく、全食中毒の中で占める割合は1%未満である。

■ 食中毒の発生状況について調べる

●『食中毒統計』(厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課編 厚生労働省医薬食品局食品安全部 年刊 【Z41-735】)
明治11年から行われている食中毒に関する統計で毎年刊行されています。原因物質・食品・施設ごとに分類された発症者・患者数が記載されており、月次の数値も掲載されています。昭和27年以降の発生件数や死亡者数の推移を表すグラフもあります。

●食中毒に関する情報(厚生労働省医薬食品局食品安全部)
平成8〜18年以降の食中毒発生状況や、今年の食中毒発生事例の速報などが閲覧可能です。そのほか、食中毒予防対策関連情報や腸管出血性大腸菌O157対策関連情報などもあります。


ニューヨークでメディケイドを取る耳鼻咽喉科MDS

●東京都の食中毒発生状況(東京都福祉保健局)
平成11年以降の東京都における食中毒発生状況や過去5年間の施設別、病因物質別、月別の食中毒発生状況を掲載しています。

■食中毒の予防と治療について調べる

●『食中毒予防・処理マニュアル.改訂第2版』(日本食品衛生協会 2004 【EG261-H51】)
厚生労働省食品安全部において、平成15年8月29日付けで「食中毒処理要綱」などのマニュアルが見直されたことに合わせて改訂された食中毒予防と処理に関するマニュアルです。「食中毒処理要領」、「食中毒調査マニュアル」、「大量調理施設衛生管理マニュアル」、「家庭でできる食中毒予防6つのポイント」などの章から成ります。食中毒の発生を防止するための要領や発生した場合の拡大防止策のマニュアルが紹介されています。自治体や食品に関わる業者だけでなく、一般家庭向けのマニュアルも掲載されています。

●『食中毒を防ぐ!家庭の調理・新常識110:安全な食卓なくして「食育」なし』(久保田徹著 現代書林 2006 【EG261-H138】)
食中毒の発生を防ぐために一般の家庭で気を付けるべき点を分かりやすく解説しています。冷蔵庫・冷凍庫の安全な使い方や危ない飲食店の見分け方など、具体的な情報を含んでいます。

●『食中毒検査・診療のコツと落とし穴』(渡辺治雄編 中山書店 2006 【SC186-H73】)
食品を介する感染症の正確な情報を提供し、対策・治療・予防の手助けとすることを目的とした資料です。「カンピロバクター腸炎の病態」、「下痢原性大腸菌の検査法と結果の意義」など、全部で81の項目を取り上げ、各項目について2ページ程度ずつ解説されています。いずれの項目も各分野の専門家により執筆されています。

●『食品衛生検査指針.微生物編 2004』(厚生労働省監修 日本食品衛生協会 2004 【SC186-H38】)
食品衛生に関連する微生物汚染やこれに由来する物質の含量、限度などを試験する際の、公的あるいは標準的な分析および試験、検査方法を収載した資料です。「細菌」、「真菌」、「ウイルス」、「寄生虫」などの章立てになっていますが、「細菌」の章は食中毒菌を多く収録しており、特に充実しています。詳しい収録内容については、日本食品衛生協会ホームページ内の『<公定検査法等詳解>食品衛生検査指針 微生物編 2004』でご覧になれます。

■ 食中毒を起こす細菌・微生物について調べる


3歳児の歯が緩んでなければなりません

●『食の安全とリスクアセスメント』(熊谷進,山本茂貴共編 中央法規出版 2004 【EG261-H60】)
食品の安全性に関わる危害因子であるウイルス、細菌、寄生虫、化学物質について、それぞれの特性や引き起こす症状、繁殖しやすい食品などについて解説しています。そのほか、予測微生物学や食品の安全性評価について解説した章もあり、食品の安全性全般について調べることができます。

●『食中毒性微生物』(総合食品安全事典編集委員会編 産業調査会 1997 【EG261-G31】)
腸炎ビブリオ、サルモネラ、病原大腸菌など、食中毒の要因となる細菌やウイルスについて解説しています。それぞれについて、概要・疫学・臨床症状・検査法・治療法・予防法などが解説されています。巻末には参考文献の一覧があります。

●『原色食品衛生図鑑』(細貝祐太郎編者代表 新訂 第2版 建帛社 2008SC186-J22】)
食品の安全性に関連する事柄を分かりやすく紹介するために、図表や写真などを豊富に取り入れた資料です。細菌やウイルスの拡大写真やフグなどの食中毒を引き起こしやすい食品のカラー写真を掲載しています。pp.1-80が「食中毒」の項目になっており、食中毒の種別ごとに、病因物質、発生状況、原因食品、臨床症状などを解説しています。収録内容や書誌事項については、Webcat Plusの図書情報 『原色食品衛生図鑑』をご覧下さい。

●『現場で役立つ食品微生物Q&A.第2版』(小久保彌太郎編著 中央法規出版 2007 【SC186-H101】)
安全な食品を製造加工するために、食品の安全を脅かす食品微生物に関する問題点や疑問点を六つのカテゴリーに整理し、「サルモネラ(Salmonella)とは?」や「微生物による食中毒はなぜ起こるのですか?」といった質問に回答するQ&A形式で解説しています。食品の加工製造の現場に関わる人が管理の際に生じた疑問点を解決することを目的としています。

■ 食中毒に関する論文記事の探し方
食中毒について、より詳しくかつ新しい情報を調べるには、論文記事にあたることが有効です。主な論文記事データベースとその検索方法を簡単にご紹介します。

●雑誌記事索引


plasmapharesisは何ですか

NDL-OPACで「雑誌記事索引の検索/申込み」ボタンを押します。検索したい年代にチェックをかけ、論題名検索ボックスに、「食中毒」や「サルモネラ」など、食中毒に関するキーワードを入れて検索します。検索結果が200件を超える場合は、刊行年月等で200件以内になるように適宜調整してください。

雑誌記事索引に収録されている文献は原則として国立国会図書館所蔵資料です。登録利用者であれば検索結果から直接複写申込みができます。それ以外の方は当館ホームページの「複写サービス」をご参照ください。

●PubMed

米国国立医学図書館(U. S. National Library of Medicine)が提供する、医学文献二次情報データベースMEDLINEを中核とする無料医学情報サービスです。検索ボックスに「food poisoning」や「salmonella」などのキーワードを入力し、「Go」ボタンを押すと検索結果が表示されます。検索結果を絞り込みたい場合は検索語を付加するか、左上のLimitsタブを押して検索を進めてください。

PubMedの検索結果から原文献を入手する方法については、「PubMedの検索と原文献入手法」をご覧下さい。

●医中誌Web

東京本館、関西館総合閲覧室に来館可能な方は、医学中央雑誌刊行会が作成する医学文献二次情報データベース医中誌Webが利用できます。

医中誌に含まれる統制語の中に「食中毒」があります。検索するには、ログインして「ADVANCED」タブを選択するか、「アドバンスド・モード」ボタンを押します。年代の検索範囲については、右上の検索対象年の右側の「変更」をクリックして適宜設定してください� ��新規検索の下にある検索ボックスに「食中毒」と入力し、「検索」ボタンを押すと、統制語(「キノコ中毒」などの下位語を含む)で検索し、さらに論題、抄録中に「食中毒」を含むレコードも併せて検索します。

2009年7月15日現在の検索対象年:1983年〜とした場合の上記検索による該当件数は 5,977件です。

検索結果から国立国会図書館所蔵の原文献を入手する方法については、「医中誌Web(館内でのみ利用できます)」をご覧下さい。

●JDreamII

東京本館科学技術・経済情報室、関西館総合閲覧室に来館可能な方は、科学技術振興機構(JST)が作成する科学技術文献二次情報データベースJDreamIIが利用できます。

JDreamIIに収録されているシソーラス用語に「食中毒」があります。データベース選択画面で「JSTPlus+JME DPlus」のラジオボタンを選択し、「シンプルモード」ボタンを押します。検索対象プルダウン・メニューを「キーワード」(デフォルト)のまま、検索ボックスに、「食中毒」と入力し、「検索」ボタンを押します。必要に応じてキーワード(サルモネラやO157など)の付加や年代などで検索結果を絞り込んでください。

2009年7月15日現在の「食中毒」で検索した場合の該当件数は 13,357件です。(うち日本語文献は10,073件)


検索結果から国立国会図書館所蔵の原文献を入手したい場合は、お近くの係員にお尋ねください。

■ インターネット情報源
次のインターネットサイトでも、食中毒に関する情報を入手することができます。

●日本食品衛生協会
食品衛生関連情報インデックスではウイルス・細菌などの要因別の食中毒予防対策や食品衛生指導員制度要綱などを掲載しています。また、食品衛生関連法令インデックスでは、食品衛生に関する厚生労働省の通知の中から、食品等事業者が実施しなければならないものについて紹介しています。

●食品安全委員会
食品を摂取することによる健康への悪影響について、科学的知見に基づき客観的かつ公立中正に評価を行なう食品安全委員会のページです。トピックス 食中毒予防についてでは、家庭でできる食中毒予防のポイントや、リステリア、黄色ブドウ球菌など11種の食中毒菌について、特徴、症状、発生状況などを紹介しています。

●食品安全情報(厚生労働省医薬食品局食品安全部)
食品の安全性に関する情報を総合的に掲載しています。消費者向け情報や食品関係用語集などのコンテンツのほか、食品安全に関する最新ニュースを掲載しています。

●食中毒から身を守るには(農林水産省)
食中毒に関する情報を消費者の観点から集めたサイトです。食中毒予防のための買い物の仕方や食物保存の方法などを紹介しています。食中毒をおこす細菌・ウイルス図鑑では、食中毒をおこす細菌やウイルスを紹介しています。

 

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